知っていますか?成年後見制度!

 

成年後見制度とは

成年後見制度は、平成11年の民法改正で新設された、まだ新しい制度です。成年後見制度の前身として、禁治産者や準禁治産者制度がありました。

禁治産者や準禁治産者については、その名称のイメージや戸籍 への記載、精神上のハンディに対する日本社会のマイナスイメージから、積極的に活用されるような制度ではありませんでした。

そこで、わが国では他の先進諸国の例に習い、精神上のハンディを負う方の保護とノーマライゼーションを目的として、成年後見・保佐・補助・任意後見制度が設けられたのです。

 

ノーマライゼーション

ノーマライゼーションとは、極力本人が自主的に可能な事は本人が行うこととして、後見人はその後見人としての立場から、本人のサポートを行うというものです。

要は、以前の禁治産者制度の本人の行為を禁じるという立場から、本人の意思を可能な限り尊重するというものです。しかし、本人の保護とのバランスが必要です。

 

本人の保護

精神上の理由により、様々なことの結果を予測できない場合や全く行動できない場合、社会的にマイナスとなるケースが多くあります。

例を挙げると、

 @ 契約を行った結果を予測できない。

   悪徳商法にひっかかり、必要の無い物を購入するなどして、多額の金銭を使ってしまう。

 A 年金をもらうには、現況届の提出がないと、もらえなくなってしまうが、その現況届を出すことができない。

 B 介護サービスを契約するにも、その契約を行う判断力がない。

 

などです。社会福祉ネットワークの活用により、解決を行うことが可能な場面も多々ありますが、法律的に本人の代理人として契約を行うことや、不要な契約の解除や取消を行うことまでは、不可能な場合もあります。

そこで、本人のために、本人に代わって契約などの法律行為を行う代理人と、本人の行う行為に同意を行い本人の行った行為を取り消すことのできる同意権者を法律で制定しました。

 

成年後見制度の種類

成年後見制度には、大きく分けて4種類あります。

@成年後見・・・民法7条「精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く場合・・・」つまり、意思能力や判断能力がまったく無い状況で、成年後見人が代理人となって本人の法律行為の代理を行う制度。日常生活上の法律行為(日用品の買い物など)以外は、本人が行っても無効なものとされる。

A保佐・・・・・・・民法11条「精神上の障害により事理を弁識する能力が著しく不十分・・・」つまり、意思能力や判断能力が著しく不十分な状況で、保佐人が本人の行った契約などの法律行為について、同意を行うことで完全な法律行為とすることができる制度。同意を行う法律行為は、民法12条列挙の行為のほかに、裁判所で認められた行為に認められ、本人が単独で行った法律行為につき、保佐人は場合によっては同意したり取消したりすることができる。 また、保佐人に代理権を与えることも可能

B補助・・・・・・・民法13条「精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分・・・」、保佐人ほどではないが意思能力や判断能力が不十分な状況で、補助人が本人の行った契約などの法律行為について、同意を行うことで完全な法律行為とすることができる制度。同意を行う法律行為は、民法12条のうち、裁判所で認められたものに限られる。

C任意後見・・・将来自分が意思能力・判断能力が減退・欠けた場合に備えて、意思能力・判断能力がしっかりしている間に、特定の人と任意で後見事務を行ってもらうように契約を行う制度。契約は公正証書によらなければならず、意思能力・判断能力が減退したときには、家庭裁判所で後見監督人の選任を行ってもらうことで、契約相手である後見人が契約の内容に沿った形で、後見事務を開始する。自分の意思が後見事務に反映されるのが特徴

 

見守り契約・財産管理契約

見守り契約や財産管理契約は、任意の契約により法律専門家のサポートを受けるもので、この契約による法律専門家との信頼関係を構築することで、将来的に任意後見契約を行うことも可能と なります。

見守り契約・・・・保佐や補助にいたらないが、老人のみの家庭で何かと不安な場合、定期的に訪問を行う契約を弁護士や司法書士などの専門家と結ぶもので、法的トラブルを未然に防いだり、早期発見 や早期解決を行います。

財産管理契約・・自分の有する財産の管理を法律専門家に依頼するものです。

 



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